株式会社ミヨシグループグローバルに展開する種苗会社
協力隊経験者の力をその原動力に

  • グローバル人材の育成・確保

株式会社ミヨシグループは、種苗業者として花や野菜の新しい品種を開発し、生産者、消費者に提供する企業だ。2013年に持ち株会社のミヨシグループを核とする5社体制となってからは、その商圏をさらに拡大。現在は、北・中・南米、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、さらには中近東で種苗の生産、販売、仕入れを行っている。こうした商圏の拡大に伴い、2014年から戦略的に青年海外協力隊経験者の採用を始めた。同社代表取締役社長の三好正一(みよし・せいいち)さんに、その経緯や企業としての将来ビジョンなどについて伺った。

加速する種苗業界のグローバル化

当社は戦後間もないころから花の種や苗を農家や種苗店へ販売してきました。1970年代からはクローン技術の応用にも積極的に取り組み、組織培養苗やオートメーションシステムで生産するプラグ苗などを開発し、種苗の大量生産も可能になりました。また、花以外の商品開発にも積極的に挑戦しており、これまでの常識を覆すイチゴとして話題になった白いイチゴ「初恋の香り」などは、当社が開発した新しい品種です。

生産農家が細分化している現状に対応するため、2013年には5社体制に組織変更をしました。つまり、イチゴをつくる農家は花をつくらないし、切り花の農家は花壇・鉢物の花をつくりませんから、会社自体も専門分野に特化すべきというのがその理由です。現在は、花卉の育種開発や生産販売を株式会社ミヨシが、高品質な野菜苗の生産と販売を三好アグリテック株式会社が、花壇・鉢物の種苗の販売を株式会社エム・アンド・ビー・フローラが、カーネーション苗の販売を株式会社M&Hブルーメンが行っています。

種苗業は非常にグローバルな業種です。種苗の販売先は「戦争をしている国以外すべて」といわれるくらい多岐にわたります。主要な花卉の産地も赤道直下のコロンビアやエクアドル、ケニアなどです。高齢化や後継者不足、人件費の高騰、気候変動など、さまざまな問題を抱えている国産花卉の再興に向けた取り組みは当然していかなければならないのですが、同時に当社の海外展開は今後さらに加速していくと考えています。そうすると、グローバルな事業展開に対応できる人材が必要になってきます。協力隊経験者の採用を決めたのは、こうした背景があったからでした。

代表取締役社長
三好 正一さん

“バカ”がつくくらいの明るさが魅力

現在、当社には協力隊経験者が8人いますが、うち5人は3年前に事業会社の一つであるエム・アンド・ビー・フローラと合併した会社にもともと勤めていたスタッフ、1人は以前からミヨシにいたスタッフで、協力隊経験者だから採用したというわけではなく、採用後に聞いたら協力隊経験者だったというのが正直なところです。ただ、彼らを見ていて強く感じるのは、コミュニケーション能力が優れているということでした。たとえば、外国の方が当社に来たとき、その方が話す言葉がそれほど得意ではなくても、身振り手振りで一生懸命伝えようとします。外国人に対して身構えてしまうことがないのです。このコミュニケーション能力こそが、私自身、協力隊経験者を積極的に採用していこうと考えるようになった理由です。

ミヨシグループになってからつくった協力隊経験者枠で最初に採用したのは、2015年6月に入社した丸尾亜唯子(まるお・あゆこ)さんでした。彼女は大学で農業を学んだ後、稲作栽培を指導する農業隊員としてウガンダで活動していました。帰国後、農業に関わる仕事をしたいと、当社に応募してきたようです。現在はエム・アンド・ビー・フローラの生産部員として、生産者に販売するセル成型苗の生産管理を担当しています。全社員が集まる社内のイベントでは積極的にリーダーを買って出てくれるなど、彼女の積極性がうかがえる場面に遭遇することがよくあります。そういう姿を見ると、仕事に対しても同じ姿勢で取り組んでくれていることが容易に想像できます。

もう一人は2016年4月に入社した菊地健太郎さんです。大学で工学を学び、大学院では農業を研究した後、公園協会勤務を経て環境教育隊員としてホンジュラスに赴任しましたが、現地の治安悪化により、ペルーに変更になったと聞いています。帰国後は、造園会社に勤務し、その後、当社に応募してきました。現在はミヨシの国内販売部で営業員をしていますが、いずれは海外販売部でコロンビアやエクアドルを担当してもらおうと考えています。

菊地さんについて印象に残っているのは、前職を辞めて当社に来るまでの3ヵ月間に、フィリピンの英語合宿に自費で参加して、英語をしっかりと勉強してきたことです。面接の時にスペイン語しか話せないと聞いて、私が「英語もやっておいたほうがいいよ」と言ったのがきっかけだそうです。私は彼のそうした積極性を高く評価しています。

当社を受けた時点で40代だった菊地さんを採用することについては、当初、悩みました。「あと10歳若ければ」と思ったことも事実です。しかし、造園会社で働いていて、大学院も含めて農業との関わりが長いこと、また、種苗の最終利用者である横浜市の公園協会に勤務していた経験もあり、種苗会社とまったく関係ない仕事をしていたわけではありませんでした。人柄は申し分ありませんから、足りない知識は後からカバーできるだろうと考え、採用を決めました。

この2人に共通しているのは、「バカがつくくらい明るい」ところです。人の輪にいつの間にか入り込んで、初めてのことでもチャレンジ精神を持って取り組んでいます。新入社員なのに、まるで5年くらい会社にいるような感じです。

ウガンダの子どもたちと手をつなぎ写真をとる丸尾さん(写真中央)。活動は「ネリカ米」の栽培技術を普及すること。ネリカ米は日本が開発を支援したコメの品種で、アフリカの気候に適している

ホンジュラスの国立遺跡公園で来場者のための案内板や休憩施設などを整備する菊地さん(写真手前)。この後、治安状況の悪化により、ペルーに振替派遣となった

世界レベルの種苗会社を目指して

当社は現在、年商50億円を100億円規模に拡大するという中期目標を掲げ、全社的に取り組んでいます。これは、海外の種苗会社に負けない体力をつけ、生き残っていくために必要な数字なのです。そして、それを成し遂げるためには、海外の種苗会社と遜色のないモノの考え方、行動力、語学力を持った社員が必要不可欠です。

私も頻繁に海外に行っていますが、海外の種苗会社の社員は、私たちとは比べものにならないくらい世界各地を渡り歩いています。日本から中南米やアフリカまでは、地理的に遠いので仕方がないといえば仕方がないのですが、それを理由にしてしまうと、私たちは競争力を失ってしまいます。

海外の種苗会社と競争し生き残っていくためには、海外の種苗会社以上に世界に出ていかなければなりません。だからこそ、通訳がいなくても、直接、現地に出向いて交渉できる社員が必要なのです。協力隊経験者には、そうした社員の先頭に立って世界を相手に活躍してくれることを期待しています。

PROFILE

株式会社ミヨシグループ
創立:1949年
所在地:東京都世田谷区八幡山2-1-8(本社)
事業内容:花や野菜の品種開発および種苗生産
協力隊経験者:8人(2016年12月現在)
HP:https://www.miyoshi-group.co.jp/
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