株式会社ジェック経営コンサルタント北陸・東海から世界へ
海外進出を支える協力隊経験者

  • グローバル人材の育成・確保

富山県に本社を構える株式会社ジェック経営コンサルタントは、北陸・東海地方の中小企業の経営や人材育成、海外進出を支援している。経営コンサルティング会社の多くが大都市圏に集中している中で、同社最大の強みは地元企業による地元企業支援であることだ。また同社は、JICAの中小企業海外展開支援事業を活用し、開発途上国の中小企業支援にも乗り出している。こうした同社事業の一翼を担っているのが、元青年海外協力隊員たちだ。協力隊経験者に感じている可能性や期待していることなどについて、代表取締役社長の山瀬孝(やませ・たかし)さんに聞いた。

地域密着の経営コンサルティングを海外へ

株式会社ジェック経営コンサルタントは、富山を中心に北陸・東海の6県で活動している経営コンサルティング会社です。地域密着をテーマに、地元の中小企業に寄り添いながら、経営戦略の立案や営業力・商品力の強化、組織開発、販売促進など、あらゆる経営課題の解決に向けてお手伝いをしています。私たちが目指しているのは、顧客企業の発展と地域社会の活性化に貢献することです。

当社は経営コンサルティング事業のほかにも、コンビニエンスストアや地方自治体のアンテナショップ、高速道路のサービスエリアの運営といった物販事業も行っています。実際にお店を経営するというのは、掃除をしたり、ゴミ出しをしたりという業務が大半を占めます。そういったことを経験せずに頭でっかちになって机上で戦略を立てても、説得力のあるコンサルティングはできないと思い、10年ほど前にコンビニエンスストア事業に乗り出し、社員に店舗経営を経験させています。

また、当社はアジアの国々の中小企業の経営をお手伝いしていきたいと考え、JICAの中小企業海外展開支援事業に応募したところ運よく採択され、現在、カンボジアで「中小企業振興及び産業人材育成事業のための基礎調査」に取り組んでいます。開発途上国で活動する日本の経営コンサルティング会社はたくさんありますが、ほとんどが日本企業を顧客としています。当社は、北陸・東海の地方で培った知識と経験を、これからのカンボジア経済を支えていく現地中小企業の経営、人材育成にも生かしていきたいと考えています。日本と同様、カンボジアでも地域密着を実践するため、2015年9月に事務所をプノンペンに開設しました。

代表取締役社長
山瀬 孝さん

協力隊員のバイタリティとチャレンジ精神に感服

当社には3人の協力隊経験者がいます。はじめて採用したのは、現在、中国の上海事務所でマネージャーを務める高原真理(たかはら・まり)さんです。高原さんはアフリカのベナンでHIV/エイズの予防啓発活動のほか、村の女性たちの生活や収入向上に取り組んだ人でした。といっても、彼女を採用した2009年当時は協力隊のことをよく知りませんでしたし、彼女が協力隊経験者であることを私が知ったのは入社してからです。この彼女との出会いが、協力隊経験者の可能性に気付かせてくれたといっても過言ではありません。

彼女については非常に印象的なエピソードがあります。当社は地元農家を応援するために、農家から仕入れた野菜を富山の中心部で販売しているのですが、彼女は誰に言われたわけではなく、売れ残った野菜をリヤカーに載せて繁華街の飲食店に行商に出かけ、完売させてきたのです。そのバイタリティとチャレンジ精神には感服しました。彼女は結婚を機に、一度、退社しているのですが、2013年に上海事務所を開設することになったとき、どうしても彼女に行ってほしいと思い、復職してもらいました。

2人目の杉坂瑠利(すぎさか・るり)さんは、アフリカのセネガルで高原さんと同じく村の女性たちの生活や収入の向上に向けた活動に取り組んだ経験の持ち主です。2013年にJICA北陸が主催したイベントで会い、当社に就職しないかと誘いました。彼女は富山の出身で、帰国後は富山と海外をつなぐ仕事をしたいと考えていたそうです。現在、2016年4月に開設した海外展開支援室の主任として頑張っています。当社は、上海、台北(台湾)、バンコク(タイ)、プノンペン(カンボジア)に事務所を開設し、北陸、東海地域の中小企業が現地の市場で販路を拡大していくためのコンサルティングを行っていますが、そのバックアップが彼女の業務です。まさに地元と海外をつなぐ仕事に、責任者として携わっています。

3人目は、プノンペン事務所のマネージャーを務めている植田渉(うえだ・わたる)さんです。植田さんと出会ったのは、カンボジアでの事業展開を見据え、2014年にJICAが主催するボランティア事業理解促進調査団のカンボジア視察に参加した時です。植田さんは理数科教師としてカンボジアに赴任し、任期終了後、一度は日本に帰国したものの、カンボジアで暮らしたいと現地に戻り、JICAカンボジア事務所のスタッフとして働いていました。その後、メールなどで定期的に連絡を取り合うようになり、ちょうどその頃、JICAとの契約が終了するので現地で仕事を探しているという話を聞き、それならば当社で働いてほしいと声をかけたのが始まりです。当社にとって、カンボジアのこともJICAのこともよく知っていることが大きな魅力でした。

JICA基礎調査の一環として、カンボジアの中小企業をまわり、ニーズを探る杉坂さん(中央右)と植田さん(同左)

経営コンサルタントに通じる協力隊の経験

海外展開を積極的に進めたいと考える企業にとって、協力隊経験者の海外志向は非常に魅力的です。加えて、協力隊での任務は、当社の業務に通じるものがあると感じています。高原さんはアフリカのベナンで、杉坂さんはアフリカのセネガルで、それぞれ村の女性たちの生活や収入の向上を目指し、いろいろなことにチャレンジしたのですが、何をするかは隊員の裁量によるところが大きいと聞いています。実際に、高原さんも杉坂さんも「最初から自分たちの活動が用意されているわけではなかった」と話していました。その中で、何をすれば現地の人たちのためになるのか、課題を見つけて目標を設定し、自らの存在感を発揮していったのです。

こうした仕事のスタイルは、まさに地方の中小企業を顧客とする経営コンサルティングの仕事そのものです。20代、30代の若いコンサルタントがプロの経営者である中小企業の社長の信頼を得ようとするなら、社長自身が気付いていない問題や課題を見つけ出し、解決に向けたソリューションを提案するしかありません。高原さんと杉坂さんが同じような活動目的だったのはたまたまですが、開発途上国でのさまざまな経験が今の仕事にも大きく役立っているのです。

当社はカンボジアに続き、ベトナムとミャンマーに事務所を開設したいと考えています。地域密着を掲げ、首都だけでなく地方都市にも、そして、将来的には東南アジアすべての国に進出したいという夢もあります。その中で、協力隊経験者は日本とその国の懸け橋となり活躍してくれる人材であるとの考えのもと、今後とも社員として積極的に採用していきたいと考えています。

ジェック経営コンサルタントは、2016年1月にアフリカ8ヵ国からJICAの青年研修で来日した18人の研修員に対して、地方の中小企業振興について学ぶ機会を提供した

PROFILE

株式会社ジェック経営コンサルタント
設立:1991年
所在地:富山県富山市湊入船町3-30(本社)
事業内容:経営、人材育成、地域活性化コンサルティング
従業員数:182人(2016年9月現在)
協力隊経験者:3人(同現在)
HP:http://jeckc.com/index.html
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